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Jun 7.2016

【レポート】第2回 イノベーション・キュレーター塾

 

イノベーション・キュレーター塾(以後IC塾)の第2回が、2015年10月17日(土)に開催されました。

今回は㈱レスポンスアビリティ代表取締役の足立直樹さんがゲスト。
テーマは「日本だけの常識に囚われず,世界に目を向けよう!」です。
世界で着々と変化していく新しいビジネスのルールを知りつつ,世界を変えるための挑戦を続ける必要性を理解することができました。
目先の利益を追い続けるのではなく,世界を注視し挑戦することで,持続可能なビジネスが可能になるのです。
それでは,当日のダイジェストをレポートします。

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【レポート】第2回 イノベーション・キュレーター塾

 

■企業と持続可能性の関係とは?

今回の塾では企業の社会的責任(CSR)に対するコンサルティングのプロフェッショナル、(株)レスポンスアビリティの足立直樹さんをゲストスピーカーにお招きし、企業の持続可能性についてセッションやワークを通じて理解を深めました。
「企業における持続可能性」とは・・・ぴんと来ない方も多いかもしれません。しかし、足立さんは言います。「企業が持続可能性を考えることは、新しいビジネスのルール。ルールを知らないでプレイしている企業が日本にはあまりに多い。」

質疑のようす

■コカ・コーラ、IKEA、Google、ネスレの共通課題とは?

今回のIC塾があった週の数日前まで、足立さんはマレーシアの首都・クアラルンプールにいました。”Sustainability” つまり持続可能性についての国際会議に出席するためです。そこでは、イケア、コカ・コーラ、グーグルなど、名だたるグローバル企業が持続可能性について真剣に議論していました。それは、今のまま資源を使い続けるとやがて自社のビジネス、ひいては世界が立ち行かなくなることを自らの喫緊の課題として捉えているからです。
例えば、コカ・コーラ。同社は600mLの飲料を製造する過程で約12Lの水を使用しますが、このままのペースでいくと、2030年には世界の水の需要は供給を4割も上回ると予測されています。水がなければビジネスが成り立たないことは明らかです。そこで、水不足に対する大規模で多様な取り組みをコカ・コーラ自身が行っています。

セッション
次に挙がったのは、インドネシアの森林火災の話。インドネシアでは、毎年隣国のシンガポールやマレーシアまで煙の被害が及ぶほどの規模の火災が問題になっています。火災の原因は、森林の焼き払い。インドネシアではパーム油などの生産のために毎年森林が違法に焼き払われ、自然破壊につながっているのです。一方でこのパーム油、非常に用途が広く、私たちが普段使うコーヒーフレッシュなど至る所に使用されています。そんなパーム油の大量生産のために、自然が破壊されているという事実
では、自然を守るためには企業はパーム油を使ってはいけないのでしょうか。また、このようにパーム油の使用を制限することを、経済発展の途上にあり、今までパーム油をあまり使ってこなかった途上国の人々に押し付けられるでしょうか。
この問題に対する1つの選択肢として、持続可能なパーム油を使うというやり方があります。ある国際NGOが、ネスレがチョコレートの生産に森林破壊を伴うパーム油を使用しているとして糾弾した際、ネスレは仕入れ先を変更しました。イケアも、キャンドルに使用するパーム油を認証パーム油(適正な方法で生産されたと証明されているもの)に切替えようとしています。また、EUは2020年までに域内で使用する全量を認証パーム油にすることを目標にしています。
しかし、一方で、日本政府はこのことに関してはそもそも関心がないのか知られていないのか、ほとんど動きがありません。企業の動きもごく一部の先進的な企業に限られています。

■足立さんの視点 ―ソーシャルイノベーターとして

足立さんは、そのような日本において、持続可能性という観点から企業のCSRのコンサルティングを第一線で行っています。
足立さんは、もともとは生態学の研究者でした。生き物が好きで、開発か保護かの二項対立では、結局は開発が勝ち自然破壊が進むことに虚しさを感じていたそうです。「だったら、科学的にも信頼できる基準を作り、適正な制限をすれば」。そう思い研究の道に進みます。
しかし、そこで感じたのは現地のビジネスマンとの認識のギャップ。「研究結果が社会で生かされていない。研究成果が出た頃には森林がなくなっている」-そのような焦りから、企業に直接アプローチできるコンサルタントに転身しました。
もちろん、企業へ情報を伝え、重要性を理解してもらう過程で、困難もたくさんあったそうです。しかし、目の前の課題を自分事として捉え、トライ&エラーを繰り返しながらも挑戦していく-そのソーシャルイノベーターとしての姿勢を見習ってほしいと、同じく起業し多くの困難を乗り越えてきた高津塾長は塾生たちに呼びかけます。「自分は無理、ではなく、ぶつかって失敗して学んで、自分自身を成長させて」

■日本に住む私たちとして

以上の話の後、塾生同士のワークでは、①今の日本についてどう思うか ②何が課題でそうなっているのか ③自分たちにできることは何か、という3点について話し合いました。

「企業の利益中心主義が課題ではないか」「CSRの捉え方が欧州とは異なりうまく活用されていないのでは」「日本国民はもったいない精神など、できることはやっている。問題は企業の側にあるのでは」「持続可能性について、サプライチェーンまで意識できていないのではないか」 様々な意見が挙がりました。クラスの様子

2020年には東京五輪も控え、日本には益々世界からの注目が集まります。低成長・人口減社会である日本に住む私たちとして、何ができるのか。どのようなビジネスのあり方を考えるべきか。ワークを通じ、足立さんの課題から移って今度は自らの課題についてそれぞれが考え議論しました。その中で、個々の課題を俯瞰し本質を見極める視点、また、課題とビジネスを結びつける視点を養いました。
今回のIC塾は、ビジネスのルールが変わりつつあり、新しいルールに対して世界の企業がどのように対応しているのかという足立さんのお話から、キュレーターとしての新たな視点を得る場となりました。

レポート担当:池田福美(京都市ソーシャルイノベーション研究所インターン)


■感想 塾生:村上草太さんより

足立さんは「企業が持続可能性を考えることは、新しいビジネスのルール。ルールを知らないでプレイしている企業が日本にはあまりに多い」とおっしゃいました。

持続可能な開発目標(SDGs)といった国際的な取り決めがあることや、インドネシアの森林火災の話もその原因と対策の話も私は知りませんでした。

実はロンドンオリンピック・パラリンピックは、スクラップ&ビルドではない「持続可能性(サステナビリティ)」を目指す大会として運営され、史上最も環境に優しい大会として高い評価を得ました。2020年には東京オリンピックも控え、日本には別角度からも世界の注目が集まります。これは、他人事ではなく、日本が真の持続可能な社会を作る、未来から学ぶチャンスではないでしょうか。

村上草太
広告代理店勤務

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    photo:村上草太
    村上草太
    広告代理店勤務

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