INTERVIEW
Mar 30.2020

インタビュー企画「ピンチをチャンスに!」【第1回】中田俊さん |株式会社夢びと

世界的に拡大する新型コロナウイルス感染症により、観光客の激減やイベント自粛、キャンセル増加など京都経済は深刻な影響を受けています。一方で、それほど影響なくビジネスを継続できている企業やこれを機に新たな取組にチャレンジしている企業があります。これらの企業の取組や考え方に着目し、全国の企業経営者、従業員をはじめ多くの方に知っていただき、記事を読んだ方が前向きな気持ちになれればと思い、インタビュー記事を企画しました。

「うちも何かやってみよう」「今、こういうやり方ならできる」など、自社の取組へのヒントになれば幸いです。

第1弾は、SILKが会場レンタル等でもお世話になっている「学び場とびら」を運営されている中田俊さんです。スタッフの人間力を高めるために、1時間朝礼や畑出社など面白い取組をされています。当り前のように変化を取り入れる中田さんの考え方に是非触れてみてください。

インタビュー企画「ピンチをチャンスに!」【第1回】中田俊さん |株式会社夢びと

Q: どんな事業をされているか、簡単に教えてください。

中田: ①赤ん坊、育休中のママさん、学生、会社員、フリーランス、行政職員、先生、起業家、経営者など多様な人が集まる学び場「とびら」というスペースを運営しています。多様な人や会社の「学ぶ」「働く」「暮らす」が混じり合うことで新しい事業や新しい働き方をつくることを目的としています。

学び場とびら
https://www.facebook.com/tobirakyoto

朝礼の様子

朝礼の様子

②毎年のようにやってくる異常気象の一番近くで向き合っている農家さんと茨木市北部地域でSDGsを前提とした持続可能な街づくりに取り組んでいます。農家さんの応援と街中で働くメンバーの運動不足解消、メンタルヘルス対策、SDGs研修を兼ねて定期的に畑に出社したり、築100年以上の古民家を改装してコミュニティスペースをつくっています。今後は更なる地域循環を目指してエネルギーの自給自足への挑戦も考えています。

一般社団法人みずとわ
https://www.facebook.com/ippanshadanhoujin.mizutowa

一般社団法人みずとわ

一般社団法人みずとわ

③中小企業の会計事務や税務申告、経営支援・起業家支援を行っています

主にこの3つの事業を営んでいます。

Q: 新型コロナウイルス感染症による影響はありますか?

中田: 大阪市で臨時休校が決まった2月27日に、社員全員に通常勤務(子連れ出勤可)・在宅勤務・休暇の3つから自分の働き方を選択してもらいました。どれを選んでも、コロナウイルスが収まるまでの給与保証を行うことを伝えました。弊社の子育て中の社員は全て京都市在住ですが、京都も時間の問題だと感じたからです。子育て中、妊娠中の社員は2月末から在宅勤務や子連れ出勤、休暇とそれぞれが選んだスタイルに切り替えています。

ミーティング風景

ミーティング風景

子連れ出勤

子連れ出勤

Q: 影響を受けて新たにチャレンジしたことと、その中で見えてきた課題や解決策を教えてください。

中田: 社員が出社してこなくなったため、学び場とびらを運営する人がいなくなりました。社員の配置転換も考えましたが、現状は顧客である会員さんに運営をお任せしています。学び場とびらでは、孤立や分断をなくすことで社会課題を生まない、人の可能性を開くことを追求しています。

元々、サービスを提供する側、される側という関係性ではなく、みんなでつくっていく場にしたいという想いがありました。学び場とびらには、子どもの面倒を親以外の人がみていたり、起業家が悩んでいたらみんなで知恵を出し合い協力する風土があります。困った時はお互い様、みんなで協力し合って乗り越えていく。今回のコロナウイルスでもそういう風土があったからこそ、特に問題もなく営業を続けられているのだと思っています。本当にありがたいことです。

SDGs勉強会の風景

SDGs勉強会の風景

Q: ピンチをチャンスに変えるために心掛けていることは何ですか?

中田: 物事にどういう意味付けをするかは自分次第だと考えています。ピンチだと思ったらピンチになるし、チャンスと思えばチャンスになる。一見ピンチと思えるような状況を乗り越えた後に新しい価値が生まれる経験が増えてくると、よりピンチを楽しめるようになってくる気がします。

Q: 最後に一言!(これから行いたいチャレンジ、読者へのメッセージ等)

中田: 都会と田舎、日本と海外を行き来したり、「学ぶ」「暮らす」「働く」が混じる場をつくっていて感じるのは、多様な人と関わり合う余白時間の大切さです。

多様な人と日常的に関わることでお互いの凸凹を活かして支え合えたり、自分や自社だけでは思いもつかない新しい価値を創造するキッカケが生まれます。

今回のコロナウイルスがなくとも異常気象は毎年のようにやってくるようになっていますし、日本は人口が減っていく下り坂の時代。これまでとは違った働き方やライフスタイルに変化していく必要があると考えています。

自分自身はここ数年、様々なスタイルで仕事をするようになり、事業や生活の幅も広がりました。一緒に働く社員も在宅勤務、子連れ出勤、複業、畑出社にチャレンジしています。

先が読めない時代ですが、生きていくのに何か仕事はしないといけないし、どうせやるなら楽しく、自分も、目の前の人も、地球の裏側の動植物も、将来世代も幸せになる仕事にエネルギーを注ぎたいと思っています。

コーヒーを飲みながら対話して、そんな仕事や関係性をみんなでつくりたい。そうしている間に、社会の課題を生む孤立はなくなっていく気がしています。いざという時に人との繋がりがセーフティネットになることを、今回のコロナウイルスでも体感することができました。

まずは忙しさを少し手放して余白をつくることから。


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photo:中田 俊
中田 俊
株式会社夢びと しゃちょー/中田俊税理士事務所 代表税理士/一般社団法人みずとわ 理事/イノベーション・キュレーター塾3期生/A-KIND塾4期生

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