COLUMN
Mar 7.2016

山形県新庄市 “kitokito MARCHE “

ソーシャルイノベーションサミット2015にご登壇いただきました、加藤さまより、コラムを寄稿いただきました。

山形県新庄市  “kitokito MARCHE “

人口減少や少子高齢化、産業の衰退や景気の低迷は全国の地方における共通の課題であると思います。
ソーシャルイノベーションサミットでは、新庄市での取組みが、少しでも皆さんが抱える課題解決のヒントになればと思い、事例発表をさせていただきました。
小さな町の小さな取組みを取り上げていただき、関係者の皆さまには心より感謝しています。

新庄市は、山形県の県北に位置する人口およそ3万7千人の小さな町。東京から山形新幹線で3時間あまり、その終着駅が新庄市です。市内南部には日本三大急流「最上川」が流れ、四方を囲む山々の豊かな自然に恵まれた田舎町です。また、日本有数の豪雪地帯としても知られ、雪国ならではの文化や風土が色濃く残り、豊かな食文化を育んできました。このような地域の歩みや暮らしをもう一度見つめなおし、地域の豊かさを再認識しようとはじめたプロジェクトが新庄市エコロジーガーデン「kitokito MARCHE(キトキトマルシェ)」です。

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買うだけじゃない。売るだけじゃない。手作りされた物を通して人と人が触れあう場所。そして時間。
kitokito MARCHEは、作った人から直接買い、感想を直接伝えることができる場所です。
キトキトとは、蚕やアオムシが葉っぱの上をゆっくりと歩く様子を表すお国ことば。お客さまにゆっくりとした休日を過ごしてほしい、そしてこのプロジェクトがゆっくりと一歩一歩、着実に歩んでいきたいという想いがこめられていいます。
kitokito MARCHEには、手塩にかけて育てられた旬の農産物や果物、ジャムやはちみつなどの農産加工品のほか、こだわりの食材を使った飲食店さん、まごころをこめて手作りした生活雑貨のお店が軒を連ねます。大量生産、大量消費ではない、身近にある「食」、暮らしの中にある「手しごと」、失われつつある「つながり」を再生し、地方での暮らしを楽しむことを目指しています。
昭和初期に建てられた旧蚕糸試験場新庄支場(新庄市エコロジーガーデン)の歴史的建造物を背景に、登録文化財である施設の保存・活用に取り組みながら、農村を活性化するソーシャル・プロジェクトです。

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2012年から始まったこのプロジェクトは多くの人びとの共感を生み、開催日には県内外から毎回1,000人以上のお客さまが訪れるようになりました。マルシェの開催は、5月から11月の毎月第3日曜日。地域の中・高生や大学生をはじめ多くの市民ボランティアに支えられています。また、マルシェ開催のほか、週末コミュニティカフェの運営や地域の人びとの手仕事を紹介するギャラリーでの展示・販売、本の交換ができるkitokitoBOOKSの運営などその取組みは市民の手によって大きく広がっています。
今後も、ゆっくりと流れる時間のなかで、農村の暮らしの豊かさを感じていただくことができるよう継続していきたいと考えています。

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ソーシャル・イノベーション・サミットで開催されたワークショップでは、地域の活性化やソーシャル・イノベーションに取り組み、同じ思いを持つたくさんの方々とお話をさせていただきました。
それぞれが抱える課題や解決に向けたノウハウを共有することができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。
また、その場で出会った各地の皆さまとサミット終了後も連絡を取り合っています。一緒になにかしましょう!との声もいただき、事例紹介をさせていただいた私自身が、皆さんから大きな刺激とパワーをいただく機会となりました。

※kitokito MARCHEのHPはこちら

 

 


photo:加藤 明
加藤 明
新庄市商工観光課 クールジャパン新庄推進室 主任 平成6年度、新庄市役所入庁。福祉、税務、会計、広報の業務を担当した後、民間企業への派遣を経て、平成24年度から商工観光課に配属。地域資源の発掘と磨き上げのほか、新たな観光コンテンツの企画実施、市民や団体と協働で行うソーシャル・プロジェクトの企画運営に取り組んでいる。

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