INTERVIEW
June 06.2016

京都信用金庫 満島孝文さんーイノベーション・キュレーター塾生インタビュー

現在、第二期生を募集中のイノベーション・キュレーター塾。
こちらでは、第一期塾生へのインタビューにより、塾の魅力と、塾生のみなさんに起こった変化についてご紹介します。

第一回目のインタビューは、京都信用金庫 企業戦略推進部の満島さんにお聞きしました。
塾生の中でもビジョンが明確で、すでに目指す未来に向かって進んでおられる満島さん。しかし、当初は「イノベーション」「ソーシャル」に対して、特に知識もなかったそうです。そんな満島さんに起こった変化とは?

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京都信用金庫  満島孝文さんーイノベーション・キュレーター塾生インタビュー

■塾に参加したきっかけ:「半信半疑での参加でした」

仲筋: なぜ、イノベーション・キュレーター塾に参加しようと思われたのですか?

満島: 京都信用金庫(当庫)は、独創的・革新的で社会性のある事業に取り組み、地域経済の活性化に貢献している起業家を顕彰するための「京信・地域の起業家大賞」を創設・運用しているほか、「ソーシャルビジネス共感融資」として、公益財団法人信頼資本財団や公益財団法人地域創造基金などと連携し、ソーシャル・ビジネスやNPOを支援する融資制度も運用するなど、ソーシャル・イノベーションの分野で活躍される事業者に対しても積極的にサポートさせていただいています。
そういった社会性に目を向けた金融の在り方を組織的に追求しているときに、高津塾長と京都市ソーシャルイノベーション研究所のスタッフの方々に当庫を訪問いただき、イノベーション・キュレーター塾について御説明いただきました。
その際、正直に申し上げて、最初は何を言っておられるのか、全く理解出来ませんでした(笑)確かに社会への貢献や社会課題の解決は大切だと思いますが、やはり資本主義社会ですから、綺麗ごとをいっても1円でも利益を出さなければ企業は存続しないし、それを優先しなくてはならないと思っていました。高津塾長にイノベーション・キュレーター塾について御説明いただいた席でも、同様の発言をしたと思います。
そんな半信半疑の状態でしたが、京都信用金庫としてもソーシャル・イノベーションに取り組む人材の育成が必要な時でしたので、上司から背中を押してもらって私が研修として派遣されたのがきっかけです。

■塾での気づき:「仕事の本質に気付くことができました!」

仲筋:  イノベーション・キュレーター塾を受講する中で、どんな気づきがありましたか。

満島: 前期のゲストスピーカーの皆さんは、我々のような組織に属している人間にとっては、普段、お会いすることが難しい方ばかりでした。本当に、多くの気づきがありましたよ。

仲筋:  その中で一番印象に残っておられることは?

満島: 多種多様なゲストスピーカーばかりでしたので、皆さん本当に印象に残っています。ただ、当庫の業務と照らし合わせたときに強烈な印象を受けたのは、レスポンスアビリティの足立直樹さんでした。
金融機関では財務諸表を見て融資の判断をするのは当然ですが、京都信用金庫はこれに加えて、技術の革新性などの「企業の可能性、将来キャッシュフロー」を加味して評価することに長けていると自負していました。創業支援に力を入れてきた京都信用金庫としての誇りもありましたし。
ところが、足立直樹さんによると、世界の投資家は非財務情報であり、持続可能な企業かどうかを評価するESG(環境(Environment)、社会(Society)、企業統治(Governance)。企業が社会的責任を求められる要素の総称)を加味して企業を評価していると聞いて、驚きました。

仲筋:  しかし、ESGといった指標を中小零細企業の皆さんが数値化するというのは、なかなかハードルが高いでしょうね。

満島: 確かにハードルは高いと思いますし、ESGにこだわる必要はないと思います。むしろ、「これからの1000年を紡ぐ企業認定」の認定基準に答えがあると思います。それは、同じ1日の売り上げを得るとしても、その先の未来を見据えての利益かどうか、ということです。毎日売り上げを得るのは目的ではなく、あくまで企業が実現したい未来を叶えるための手段にしか過ぎないわけです。ところが、その本質を見失ってしまい、目先の利益だけにとらわれてしまうと、軸足がぶれた経営になってしまいます。塾を受講した結果、企業が存続するために必要なことは、利益を上げることだけではないな、間違っていたな、ということに気付くことができたわけです。
そこで、私は「ブレない経営哲学を持っておられる企業家かどうか」を見定める必要があると考えました。例えば、IPS細胞に関するオンリーワンの技術を持っている企業があるとします。塾を受講する前の私でしたら、非財務情報ではありますが、企業の可能性を表すオンリーワンの技術を持っていると判断し、融資対象としようと考えたと思います。しかし、塾を受講した結果、「なぜ、IPS細胞の技術を活かして企業活動をしているのか」という企業家のルーツを知りたいと考えるようになりました。家族を救おうとしているのか、社会の人々を助けようとしているのか。人を助けたいという使命感を持っている人は、その経営もブレないでしょうし、経営が進化していくと思います。
本来、このような企業家の本質を見ることが金融マンの仕事の本質だと思います。イノベーション・キュレーター塾では、ソーシャル・ビジネス、ソーシャル・イノベーションというものに対する知識や関心を深めることだけでなく、「何の為に今の仕事をしているのか」を考え、仕事の本質を見極めるきっかけとなりました。

仲筋:  「仕事の本質」を見極めることができると、力強いですよね。

満島: 建前も大切だと思いますが、建前も仕事の本質を実現するための手段なのだと思います。建前だけの世界は成立しない。これは事業者にも当てはまりますし、我々金融マンにも当てはまります。
そもそも、本質の無い仕事はないはずだと思います。上司の指示やお客様からのご要望を受けて柔軟に対応することは大切ですが、仕事の本質をブレさせてしまうのは、上司やお客様にとってもよくない。まず、自らの仕事の本質は何かをしっかりと考えたうえで、取り組むべきだと思います。

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■今後の挑戦:地域から「京都信用金庫がなければ困る」といわれる関係を築きたい。

仲筋:  満島さんは、どのような未来を実現したいと考えておられるのですか?

満島: まずは、自分や家族などが幸せに暮らして行きたい。けれど、我々は様々な人と繋がりあいながら生きていますから、みんなに幸せになってほしい。金儲けが第一だという人生を否定するわけではないけれど、誰か一人に富が偏るのではなく、皆が幸せになってほしいですよね。
そういう風に人々はつながりあっていますから、まずは私が働いている職場環境を通して、人々が幸せに暮らせるような未来を築いていきたいと思っています。

仲筋:  そういう想いを込めて、自ら取り組むプロジェクトを検討されているのですね。

満島:  企業社会全体に言えることですが、金融業界も金利競争、つまり価格競争に陥っています。金融商品と言えども、製品・サービスと同じで、安い商品に本当にお客様にとって必要な付加価値を提供するのは難しい。我々「信用金庫」は、京都を中心とする地域のお客様にとって、信頼関係で結ばれ、継続的なお付き合いをさせていただくことで、本質的な価値を提供するのが本来のミッションであり、本来の姿であると思っています。
極端に安い商品を購入し、付加価値が低い金融商品を選ぶのか、適正な価格で商品を購入し、継続的に付加価値が高い金融商品を選ぶのか。どちらの商品を選ぶかは、お客様にかかっています。しかし、低金利で金融業界の再編も加速するなか、信用金庫の本来の姿に立ち戻ることが必要だと思います。

仲筋:  満島さんの現在のお立場で、まずは、どんなアクションを起こそうと考えておられますか。

満島:  国において創業支援に力を入れておられますが、京都信用金庫も、創業支援の分野で果敢にチャレンジしてきました。その結果、京信全体で昨年度414件の実行が出来、当庫の内部では、創業支援に取り組むことが社風として一般的になっています。しかし、ソーシャル・ビジネスへ支援することは、まだまだ一般的ではない。まずは、イノベーション・キュレーター塾で学んだことを活かして、社内を啓蒙していくのが私の務めだと思っています。

仲筋:  創業支援とソーシャル・ビジネス支援が京都信用金庫の得意技になればいいですよね。

満島:  私は企業間の競争は否定しませんが、現代は競争が過度になっています。こういった時代だからこそ、なぜ金融機関があるのか、なぜ信用金庫があるのかという原点に立ち戻らないといけない。つまり、「中小企業の円滑な経営を支える」という原点です。
京都信用金庫の理念は、このような原点に立ち戻ることの重要性を意識されています。そのことは心強いのですが、やはりお客様と接する現場の職員一人ひとりが、この原点、そこから生まれる仕事の本質を理解しないといけない。

仲筋:  京都信用金庫さんは、組織としても果敢に原点に立ち戻ろうとされていると思います。

満島:  金融商品ですら、中小企業の円滑な経営を支える手段に過ぎません。地域に密着することができる信用金庫だからこそ、あえて非効率を求めることも必要だと思います。やはり基本は顔と顔を合わせる「フェイス・トゥ・フェイス」だと思います。その積み重ねによって、「京都信用金庫がなければ困る」という声が上がってくる。そのために、ビジネスマッチング会やクラウドファンディング説明会といった事業にも積極的に取り組んでいます。

■受講をお勧めしたい方:「多様な人が参加して欲しい。異なる考え方を受け入れられるようになりますよ!」

仲筋:  最後に、どんな人にイノベーション・キュレーター塾の受講を勧めたいですか。

満島:  色々な人に受講してもらいたいですね。私が受講したクラスは、同じ業界の方は全くいらっしゃらなかった。普通ですと話しづらいのですが、隣に座っているから義務的に話をしなければならないし、高津塾長が上手くリードしてくださるので対話が深まっていきました。以前の私ならば他人の意見を否定してしまうことがありましたが、塾では他人の意見を受け入れることで、自分の考え方もクリアーになっていきました。
このことは、京都信用金庫内で他の部署の方と話をする際にも役立っています。異なる考え方を受け入れられるようになりました。ですから、なるべく色々な人々にイノベーション・キュレーター塾の受講を勧めたいですね。

仲筋: 有難うございました。

聞き手-仲筋 裕則
京都市産業観光局商工部中小企業振興課 ソーシャル・イノベーション創出支援課長補佐。2012年から京都市ソーシャルビジネス支援事業を担当。 ビジネスを活用して社会的課題の解決に取り組む「ソーシャルビジネス」の認知度向上と 企業育成のための支援に取り組み、京都から日本の未来を切り拓く様々な活動を行う。

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    お話を伺った方:満島孝文さん
    京都信用金庫 企業成長推進部 / イノベーション・キュレーター塾 第一期生

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