COLUMN
Feb 10.2017

素材から学ぶくらしの学校」レポート① 1日目

ソーシャル・イノベーションに取り組む企業の皆さんから,こんな声を聞くことがあります。
「消費者の皆さんに意識を変えてもらえるような取組をしてもらえませんか?」
京都市ソーシャルイノベーション研究所SILKでは,主にソーシャル・イノ ベーションに取り組む事業者の皆さんを支援していますが,事業者が消費者に受け入れてもらえなければビジネスとして成立することは難しい。しかし,「こうあるべきだ」と大上段から構えて消費者に問いかけても,「楽しくお買い物をしたい」と考えている消費者には伝わり難い。ましてや,お買い物の行動を変えよ うとは思わないでしょう。
お買い物は楽しいもの。楽しみながら消費者の意識を変えてもらえるような取組が出来ないかと,京都市消費生活総合センターと議論を重ねながら,2年連続 でイベントを実施しました。

素材から学ぶくらしの学校」レポート① 1日目

素材から学ぶくらしの学校

くらしをよくするお買い物を学ぶ2日間
MAKING OUR MARKET 2017

1日目:
-ワークショップ「マップを考えよう」10:00〜12:00
-社会見学「お店を巡ってみよう(ガイドツアー)」13:00〜15:00

2017年のテーマは「学校」。対象は「小・中学生」。
今回は,未来を担う子どもたちにメッセージを伝えることを目的としました。
どのようなものを・どのように考えて買うのか。また,どのようなものを買うと「心地よい」のか。このような買い物に付随する様々な思考や感覚は,幼い頃に学び,その後は習慣となって生活の中で繰り返されます。
大人になって,これ まで「心地よい」と感じてきた行動は,なかなか改められないものです。もしも子どもたちが感覚的に社会や環境にやさしい製品を感じ取ることができるならば,引き続き同様の製品を選択してくれるかもしれない。
今回は,そんな想いを込めて,子供から消費を考えるという目的を設定しました。

さて,1日目の会場はパタゴニア京都店。中学生から大人を対象にしたプログラムを開催しました。
パタゴニアのミッションといえば, 「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、 ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」こと。 今回のイベントの趣旨に賛同していただき,京都店3階のイベントスペースを貸していただけました。
入居していたビルが改装されるため惜しまれながら閉店したパタゴニア京都店でしたが,昨年,京都のメインストリートである四条通で復活。木材の温かさが感じられる,居心地のよい店舗です。

 

午前中は京都市ソーシャルプロダクトMAPを題材としたワークショップを開催しました。
ソーシャル・プロダクトとは「より良い社会づくり」への消費参加を 可能にする商品やサービスのこと。
京都市ソーシャルイノベーション研究所では,このようなプロダクトを提供するお店や事業者をまとめたマップを発行しています。マップで紹介されているお店からは「好評ですぐに無くなった」「外国 人観光客の方が手に持って来店してくださった」といった嬉しい声が寄せられています。消費者の意識が変わりつつあるようです。

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ゲストのaeru gojo 田房さん

この京都市ソーシャルプロダクトMAPには,本物の飴を樹脂コーティングした アクセサリーを手がける「ナナコプラス」,京黒紋付など黒染め技術を使った洋服やバックのリユースに取り組む「PANDA BLACK」,栄養価と健康作用が高められた様々な発酵食品を提供する「発酵食堂カモシカ」など沢山のお店が紹介されています。
今回はゲストに株式会社和える、aeru gojoの田房さんにもご登壇いただきました。

そこで,ワークショップでは,とても広い概念であるソーシャルプロダクトという概念を,いったん身近に捉え直す作業から始めました。
参加者の皆さんは,ソーシャル・プロダクト・マップの中から好みのお店を選び,「なぜ,そのお店が気になったのか?」を考えます。そのうえで,参加者同士で考え方を共有しました。
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参加者がお互いの価値観を確認し,共有したところで,ソーシャル・プロダク ト・マップに掲載されていないお店の情報を提供していただきました。
皆さんが 大好きで,足しげく通うお店の話題ということで,自然と熱のこもった意見交換になり,20もの新しいお店の情報を得ることができました。
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ここで得られた情報 は,京都市ソーシャルプロダクトMAPのウェブ版(グーグルマップ版)にて掲載する予定です。
ソーシャル・プロダクトとして選定する基準を絞りながら,お買い物で感動した店舗を選び出してみる。ソーシャルプロダクト MAPを作るうえで必要となるプロセスを体験していただきました。
参加者の皆さんが,それぞれの生活圏内で,お気に入りのソーシャル・プロダクト MAPを作ってもらえたら嬉しいです。

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午後からは,京都市内で展開するお店を巡るスタディ・ツアーを開催しました。
ソーシャルグッドなお店をまとめて知る機会や、ましてや,そのお店の裏側にあるストーリーをじっくりと伺う機会はなかなかありません。また,今回ツアーにご参加いただいたお店側の方々も,お互いの顔を知らないということがわかりました。
そこで,共通のお客様を御案内することで,お店同士にも仲良くなってもらうことも意識してイベントを開催しました。

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パタゴニア京都

このツアーでは,パタゴニア京都からスタートして,京都のフェアトレード・ ショップのトップ・ランナーであるシサム工房裏寺通り店,ファストファッションから劇的な転換を図ったmumokuteki,最大限の安全と最小限の環境負荷に取り組むIKEUCHI ORGANIC KYOTO STOREを訪問。

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シサム工房裏寺通り店

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KYOTO GOENCHA

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mumokuteki

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IKEUCHI ORGANIC KYOTO STORE

お店を訪問すると,それぞれの企業が大切にされている哲学を紹介していただきました。環境、フェアトレード,自給自足,オーガニック。沢山の社会的価値を大切にしつつも,あくまで商品は魅力的でワクワクするようなお買い物環境を 提供しつづけているお店ばかりでした。
これらのお店を訪問する時に,ちょっと寄り道したらクラフト・ビールを提供する飲食店や新しいデザインで日本茶を提供する店舗など,新しい息吹も感じられる展開が。
ツアーの参加者の皆さんにとっても,社会をよくしよう!と考える 多種多様な店舗が京都の都心部にコンパクトに集まっていることは大きな驚きのようでした。
このツアーをきっかけとして,参加された企業の間で取引や,一緒に取り組むイベント、事業のお話がうまれています。
なかには,参加企業が互いに語り合うパーティーをしよう,なんて声も。
1社だけで社会的な課題を解決するのは限界がありますが,それぞれの企業が互いに補完したり協力したりしながら,シナジー効果を発揮することができる。そんなことを気付かせてくれるイベ ントとなりました。


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