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Aug 18.2020

【レポート】高津塾長×イノベーション・キュレーター塾生 トークセッション/イノベーション・キュレーター塾説明会

2015年に京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)の立ち上げと共に、イノベーション・キュレーター塾がスタートしました。これまでに92名が受講され、各方面で活躍されています。

現在、第6期塾生の募集中です!

2020年8月6日、イノベーション・キュレーター塾の説明会を兼ねて、塾長を務める髙津玉枝さんと、卒塾生5名の方々とのトークセッションを開催しました。

コロナ禍ではあるものの、対面にもこだわりたかったので、感染症対策を行なったうえで少人数の会場参加と、オンライン参加の両方を取り入れたハイブリッド開催としました。いずれも申し込みが定員に達し、募集を締め切らせていただいたので、当日の様子をご紹介します!

ZOOM参加で聴きづらいところがあった方、当日参加できなかった方、もう一度当日の内容を振り返りたい方、皆さま是非ご一読ください。

イノベーション・キュレーター塾の申し込みはこちらから。

【レポート】高津塾長×イノベーション・キュレーター塾生 トークセッション/イノベーション・キュレーター塾説明会

【塾長のお話】

イノベーション・キュレーター塾  塾長の髙津玉枝です。自己紹介をさせていただきます。

現在、フェアトレードの事業を中心に行う会社を経営しています。以前はマーケティングの会社を20年間やっていました。90年代後半ぐらいからのデフレに伴い、安いものを大量に消費してもらえることを推進することが仕事の一定の割合を占めるようになっていました。起業した当時は、世の中に隠れているいいものにスポットライトを当てて、その商品を持つことで、誰かが幸せになって、豊かな生活を送ってもらうことを目指していました。しかしある時、自分のやっていることが理想とはかけ離れていっていることに気付きました。そして、フェアトレードという概念に出会い、2006年に今の福市という会社を起こしました。いわゆるソーシャルビジネスとして、フェアトレードを事業の柱にしました。今は、写真にある直営店を阪急百貨店の10階に持って、社会課題をビジネスの力で解決していきたいと思って運営しております。

自分がソーシャルビジネスを始めてみて感じたことが色々あります。例えば、気候変動の問題にしても、ものすごいスピードと規模で進んでいるわけです。自社でフェアトレードの製品を一生懸命作って販売していても、社会全体に与えるインパクトはものすごく小さいです。ということは、これでソーシャルビジネスだ、環境を改善するんだと思ったところで、自分一人の影響力はとても小さい。だとすればどうしたらいいのか……もやもやと悩んでいた時に、ちょうど京都市から「こういう塾をしようと思っているのだけど、塾長になっていただけませんか」という話をいただきました。

マーケティングの会社でクライアント企業に伴走して仕事をしてきたこと、その後、自分自身が商品を動かしてリアルな事業をやっていること。この2つの実績の掛け合わせがあったことが、お声がけいただいたきっかけだと伺っています。 

一人でやっていても、社会に変化を生み出す力は小さいのですが、近い考え方を持っている人が増えていけば、どんどん世の中を変えていくことが出来る。つまり、より多くの人が持続可能な社会に向けて「軸」を持ち、行動に向けての「思考」を変え、「同志」が増えていけば、確実に世の中の色が変わっていくはず。そう思って、塾をスタートしました。

イノベーション・キュレーター塾がスタートしたのは、2015年9月です。国連でSDGsが採択されたのも同じ2015年9月。私たちも、貧困や気候変動や格差などの様々な社会課題に対してなんとかしなければいけないと、強く思っていました。思うだけではだめで、行動をおこさないといけない。結果、私たちはイノベーション・キュレーター塾を誕生させました。世界の潮流として、全世界がなんとかしなければならない、ただ貧困をなくそうと言っているだけではだめで、国連として世界中に広げていかないとだめだと言っている中で、SDGsが採択されたのが、まさに同じ時だったんです。発想の根本は同じところにあります。

イノベーション・キュレーターっていったい何なんですか?社会起業家と何が違うんですか?という質問をよくされます。今、若い世代をはじめいろんな年代に、ビジネスの力で社会を変えようと考え、ソーシャルビジネス(社会起業家)として事業を起こされる方が増えてきています。

私たちのキーワードに「俯瞰する」という言葉があります。この言葉を覚えていてほしいのですが、蟻の目と鷹の目で見るということが大事です。蟻の目で見たときには「社会起業家が増えているからいいよね」という状況でも、鳥の目で見る、つまり俯瞰してみたら、その人達の持っている力はまだまだ小さいことがわかります。日本の国は、ほとんどが、既存の会社の経済活動で成り立っています。ということは、既存の会社が社会課題を生まないようにしなければいけないのです。社会起業家が次々に生まれてきたとしても、なかなかインパクトが出せない。もちろん、それはそれでとっても大切なことで意義もあります。その人達のことも応援したいし、キュレーター塾にも起業される方もおられます。

しかし、そもそもを考えてみたときに、社会課題を解決すること、目の前で起こっていることを解決することだけでなくて、課題を産まないようにすることのほうが大切、という予防医学のような考え方もあります。

イノベーション・キュレーターとは“企業と共に伴走する人”という書き方をしています。キュレーター塾の目的は、例えば外部のコンサルタントや士業の人が企業に伴走したり、もしくは自分が勤めている企業を中からの動きで変えていったりできる人を生み出すことです。その結果、既存の企業が変わっていき、社会の変化のきっかけが生まれます。

そうした意味で生まれたのが、イノベーション・キュレーター塾です。だから、起業家スクールではありません。この塾で事業計画を作って終わり、ということではないんです。

あくまで企業の中に入り込む、伴走する。自分で事業を起こしてもいいのですが、塾では、「目の前の課題に対する答えを探すのではなく、多様な視座から問いを立て未来にむけて社会にインパクトを与える人材を育成します」ということを掲げています。要するに、目の前に起こっていることに対して「なぜ、そもそもこんなことが起こっているのか?」という問いを紐解いていくことを大切にしています。

 毎年説明会を実施しているのですが、必ず、この塾がご自身に向いているのか、向いていないのかを判断して、入塾をご検討くださいとお話しています。ただ、今年に限っては、新型コロナウイルス感染症のことがあるので、関心を持っている方全員に参加していただきたいと思っています。というのは、コロナの影響で、ご存知のように、すべての環境が変わってしまったからです。

今日は、コロナというキーワードが気になって参加されている方も多いと思います。コロナ禍で、皆さんの中にどのような変化がありましたか?内省が深まって、この生き方でいいのかな?と考えておられる方も多いと思います。

価値観の変化でライフスタイルが変わり、企業はもう、需要の見通しを従来のやり方で立てることが難しくなってきています。今や、これまでの対処療法ではどうしようもありません。前提となる環境が完全に変わり、明確な「答え」がない時代になってしまったのです。

「未知の未知」という言葉が、塾の中で出てきます。そもそもなぜコロナが起こっているのか、原因がどこにあるのかというような問いについて、自分たちの知識や知見を飛び越えることを意識して考える力が必要になります。

ある霊長類学者の方が言われていたのですが、地球で生きる全ての哺乳類の重さを調べると、その60%が私たちが飼っている家畜、36%が人間、残りわずか4%が野生動物だそうです。それを聞いて驚きました。地球上には多様な生き物が存在していると勝手に思い込んでいましたが、60%が家畜なんです。ひとつの個体生物が増えすぎると、ウイルスにとって格好の餌食になります。今の地球はまさに、疫病が広がりやすい環境になっているそうです。

ということは、たとえワクチンが開発されてコロナが収束しても、第二のコロナのような疫病が生まれてくる可能性が非常に高い。対処療法だけに頼っていてはいけないことが見えてきますし、少しだけですが、さらに先のことも見えるかもしれません。でも、こういう話って普段の生活の中ではほとんど出てこないですよね。「俯瞰」してみる、物事の「本質」をつかむなど、新たな視点を持てるようになっていただきたいなと思っています。

コロナで前提となる環境が変わっているという話をしましたが、これから先、もっと影響が大きくなっていきます。小さなことでも、ひとつネジが狂うと、いろんなことが狂ってくるのと同じように。今までの前提条件で物事を判断できなくなるからです。

例えば、東京に行こうと思ったときに、多くの人は新幹線に乗ろうと考えます。でも新幹線が動いていなかったら、別の方法を考えないといけなくなります。車も動いていなかったら、さらに別の方法を考えます。こんな簡単なことなら、直ぐにイメージができると思います。

しかし、まさに今、大きく前提条件が変わっているにもかかわらず、多くの人は従来の前提条件で物事を考え出していくような頭の仕組みになってしまいます。本当は、コロナのみならず、資本主義経済も限界に来ていることも踏まえて、考えなければいけません。今までは、前提条件がこれほど劇的に変わらなかったから、ググれば「答え」を導き出すことができました。でも、これからは前提条件が変わってくるので、自分の頭で考えるとか、自分で想像してみる、自分で情報を取りに行くことが必要です。「情報を取りにいく」と聞いて、インターネットをググったら出てくると思ってしまった人は、思考が固まっています。

ここで書いている「思考の枠を取り払う」ということがすごく大事なことなんです。今、皆さんの頭の上でハテナマークが連なっているのが見えますが、そのハテナマークを意識することが大切です。ここがまさに、塾で学ぶことです。

さらに、コロナだけではなく、従来からあった気候変動や貧困などの社会課題も、どんどん複雑化して絡まってきます。

私たちが自分で思考の枠を外して、多様な価値観や考え方をもってイノベーションを起こしていかないと、社会は変わりません。このままでは、自分たちですら、うまく生きていけるかどうか分からない時代になるのではないかと思います。「思考の枠」を取り払うという作業をして、新しい視点や視座を手に入れていくのが、イノベーション・キュレーター塾です。

コロナ禍でどうやって生きていくのかを問われても、対処療法を持っているわけではないので、今お伝えすべき答えはありません。どんなに優秀な方に聞いても、先が見えない時代なので答えを明確に持っている方はおられないでしょう。ただ、重要なのは、自分の頭で考え、物事を発想して、社会に対して自分がどうすれば役立てるかを考える力です。その力をどうやって身につけていくか、ということに尽きると思います。それが、イノベーション・キュレーター塾の存在価値だと思っています。

その力を身につけ、イノベーション・キュレーターとしていろんな企業や団体にどんどんインパクトを与えて、世の中を変えていく人になっていただきたいなと思っています。 

イノベーション・キュレーター塾は、起業家スクールではありません。ノウハウは取得できないと思います。MBAの講座でもありません。イノベーションを起こす自分の中の軸を作ること、キュレーションするための力を蓄えて、塾でフラットな関係性で生涯の同志をつくるということを通して、ご自身にもよりよい変化が訪れると確信しています。

皆さんと一緒に学べることを楽しみにしています。

【塾長×卒塾生トークセッション】

塾長:5名の卒塾生をお招きしました。まず、自己紹介をお願いします。

満島 孝文(1期生)金融機関勤務
会社からの派遣で参加しました。卒塾して良かったことは現在の仕事に通じているので、それをお伝えできればと思います。

井上 ルミ子(4期生)介護の経営・運営コンサルタント
介護の現場で関係性を築きながら、組織を健全にし、オーナーと事業所を発展させていくことを仕事としています。私の会社の理念は「介護という言葉のない社会を作る」です。介護というと大変なイメージがありますが、現場にいると、愛おしさやキラキラと光ること、心に残ることなど、その場でしか体験できないことがたくさんあります。その経験から、ご紹介した理念が生まれました。イメージとしては、未来の子供達が「昔は、介護って大変だったみたいだよ」と語っている、そんな社会を作りたいと思い、この塾に入りました。

矢野 喜樹(4期生)メーカー勤務
事業企画部の中で事業戦略を立てたり、展示会を実施したり、直近では新規事業の立上げなどに関わっています。事業企画部の仕事をしながら、会社の中で有志を募って「イノベーション部」を作り、活動しています。

菅原 千晶(4期生)コンサルティング会社勤務
社会人5年目ぐらいの時にモヤモヤしていて入塾しました。塾の中では最年少だったので、周りはお兄さんお姉さんばかりで「大丈夫か、自分!?」と最初は思いましたが、今となっては本当に入って良かったと思ってます。卒塾してからも塾生の皆さんとお話しする機会がたくさんあることや、社会人になってからこんなに心の内まで話せる仲間ができたことがすごく嬉しいので、その辺りを今日はお話ししたいと思います。

金山 裕喜(3期生)京都市 産業観光局
産業支援(中小企業支援、ベンチャー支援)にずっと関わってきました。SILKで働いていたときに、社会課題を解決するビジネスの認定制度(「これからの1000年を紡ぐ企業認定」)があり、京都市でも話題になっていました。そういった視点を産業支援に活かしていきたいと思い、入塾しました。塾で学んだことが現在の業務にどう活きているのか、お話できればと思います。

塾長:塾に来られて、ご自身の中の変化はありましたか。

金山:私が入塾したのは3年前でした。「知らないことを知る」という言葉がドンピシャな塾でした。今でこそ「ESG投資」「SDGs」などの単語をよく目にしますが、その時点では誰もそんな話をしていませんでした。世界の最新の知識を得ることができ、さらに、周りの塾生が実際に行動を起こしているのを目の当たりにして刺激を受け、行動を起こす姿勢が身に付きました。

塾長:塾では、座学で学ぶだけではなく、実際に「マイプロ(※)」という、自分の仕事や生活の中で実現したいプロジェクトを立上げ、自分事として取り組んでもらっています。取り組んだマイプロについて教えてください。
(※「マイプロ」とは:仕事や生活の中で感じている些細な疑問や違和感、問題意識に心を傾け、そこから生まれてくる想いをベースとするプロジェクト)

矢野:メーカーで新規事業に関わってきましたが、社内でうまくものになっていないモヤモヤがあり、この塾に入りました。自分の過去を振り返る中で、「ひとりひとりの個性を活かして価値創造できる世界を創りたい」ということに行き着きました。そこで、社内に「イノベーション部」を立ち上げ、自分たちの実現したい未来を語る場を作ることにしました。そこから新たなものが生まれる環境を作りたいと思っています。現在も有志メンバー5人と月1回開催しており、まだ成果には繋がっていませんが、会社の枠組みという制約を乗り越えて考える場になっています。自主的に立ち上げてアングラで活動してきましたが、会社にも公認されつつあります。

塾長:矢野さんのチャレンジは、社内の閉塞感を変え、働きやすい環境を作ることにもつながりますね。ご自身の内面には、どのような変化がありましたか?

満島:当初はイノベーション・キュレーターという言葉の意味もわからず、次々に出てくる横文字が理解できませんでした。2回目に、株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役の足立 直樹さんからESGの話があったときに、このままではやばいと思いました。今までは知らないことを知ろうとしなかった自分、自分の受け取りたかった情報しか受け取っていなかった自分に、気づいたんです。子どもが生まれるタイミングだったこともあり、自分が今できることは何なのかを考えるようになりました。受動的な自分に気づき、自発的に行動を起こしていこう、と意識するようになりました。

菅原:私は地方自治体の支援をする仕事をしていました。目の前の仕事に追われる中で、自分が本当にお客さんや世の中の役に立てているのかと疑問に思っていたところ、塾の案内を見つけました。塾でさまざまなゲストスピーカーのお話を聞く中で、「実践者」の話はとても説得力がある、ということが大きな気づきでした。ゲストスピーカーはどなたも印象に残っています。卒塾生のみなさんも誰かには必ずハッとさせられてきたと思いますが、私は毎回ハッとしていました。中でも、河口 真理子さん(当時、株式会社大和総研 調査本部 研究主幹)が印象的でした。研究者として世の中を俯瞰して分析してこられたお話はもちろん、組織内での立ち回り方についてもお話してくださいました。「何をいうかではなく誰が言うかが大事」というメッセージも心に残りました。「話を聴きたい」と思ってもらえる人になるためにも、「支援者」だけでなく、説得力のある話ができる「実践者」にもなりたいと思うようになりました。

塾長:塾では毎回ゲストスピーカーをお招きしています。有名な方という基準ではなく、皆様に刺激を与えてくれる方を選んでいます。その方の原体験や取組をする中での裏の話を聴けることが、この塾の醍醐味の一つです。井上さんはいかがですか。

井上:特に印象的だったのは、私も河口 真理子さんです。自分の期の時は録画で、次の期はオブザーバー参加にて聴講しました。2年連続でお話しを伺い、その差異やグローバルな視点に刺激を受けました。自分の事業を進める上での意思決定にも影響しています。

普段、事業所であるお客様からの相談への対応となると、どうしても問題解決型の思考になりがちです。塾に参加したことで、ありたい未来を想像し、そこから今を眺めている自分と対話する習慣がつきました。介護の世界は社会問題のオンパレードですが、そこだけ見ていても世の中は動いていかない。見方を変えることで「歳を取ることは、そんなに悪いことだろうか」という視点が生まれ、「歳を取れる社会は成熟した社会の証では」「人手不足は3Kが理由なのではなく、そもそも働く人にとって居心地のいいコミュニティになっているのか?」「介護に関係なく基本的なコミュニティ形成に問題があるのでは?」という本質的な問いに目を向けられるようになった気がします。

塾長:そこだけ見ていてもイノベーションは起こらない。思考の枠を外すということは、従来の課題解決の方法にとらわれず、新たな方法を見つけ出すきっかけになりますね。満島さん、金山さんは、ご自身にどのような影響がありましたか?

満島:コロナ禍で金融機関に求められる支援は主に融資なのですが、お金は事業を継続する手段の1つに過ぎないと思っています。「5年後、10年後もお客様の事業を継続させるためには?」「そのために、支店のメンバー7名でできることは何か」を考えながら活動しています。コロナで見えている世界は皆一緒だと思いますが、コロナ以前からの課題や、コロナとは関係のない本質的な課題が別にあることもあります。本当にその会社が継続するために必要なことは何かを、常に考えるようにしています。また、インパクトを出すために、「いかに仲間を集めて取り組むか」ということも意識しています。

金山:ベンチャー支援、スタートアップ支援をする中で考えているのは、行政による下支えはもちろん必要ですが、同じ方向を向いている支援機関、金融機関等をいかに巻き込むかということです。自分一人だけでは大きいことはできないので、色んなところを巻き込めるよう意識しています。

塾長:共感、巻き込む、大事な要素ですね。マイプロでは塾生同士がブラッシュアップも行ないます。皆さんはどうやってマイプロを推進してきましたか?

菅原:塾生の皆さんが多様で、関係性がフラットでした。4期生には大学の名誉教授もいて、その方の視点も勉強になりました。私の塾の期間中のマイプロは、「組織内の働き方」に関することでした。トライ&エラーを繰り返すには気力が必要だったけれど、塾生のみなさんに「若いんだから失敗しても大丈夫!」「菅原さんの長所は多様性を受け入れられること」等、たくさん励ましてもらいました。そのおかげで、自信を持ってマイプロを進められたと感じています。

塾長:塾という名前にしたのも、多様な方々に参加していただくことと、フラットな関係性にこだわったからなんです。その名誉教授の方も、塾の中で「先生」と呼ばれたことは一回もありませんでした。誰しもが一個人。仕事や日常において、自分の内面をさらけ出す機会はなかなかありませんよね。塾ではそれができたという声をよく聞きます。世代、職種などによっても見ているものが全く違いますので、塾生同士の学び合いもこの塾の魅力のひとつです。矢野さん、井上さんはいかがですか。

矢野:電機メーカーがマスクを作るなど、何でもありな世の中になってきています。サプライチェーンの変化を感じます。誰も答えを持ち合わせていない中、自分たちがどうありたいのかが求められる時代です。自分のストロングツールを深堀りして見つけた「やりたいこと」が、自分の本質です。このコロナ禍でどこの会社も経営が大変ですが、会社としてどうありたいか、会社の本質が問われています。こういう時期だからこそ、いい意味で開き直れるのではないでしょうか。何をやってもいい。やりたいことをやろう、と。答えがないので、つくっていくしかない。あまり一喜一憂せず、自分たちのやりたいことをやろうと開き直っていいんだと思います。

井上:卒塾後も塾生同士の繋がりが続いています。忙しくても塾生グループのfacebookはチェックして、皆の活躍を見ています。私も、ふと我に返ったときに自分がコロナ禍でできることを考えました。「介護業界が生き延びるには?」「皆さんの命を守るには?」という問いが浮かび、思わずEラーニングの無料教材を15日間で作成し、5月上旬にYoutubeでリリースしました。

職業柄、連日コロナの情報を集めて気づいたことがあります。人間中心設計とか人間中心社会と言われることへの違和感が湧いてきたのです。人間の尊重、人権、持続可能性等が大事なのはわかっていますが、果たして自然や水、空気等、人が生きる上で絶対に必要なものが設計に入っているのか。なぜウイルスと戦う状態になっているのか。withコロナという言葉にも、人間のエゴを感じます。人が一歩下がって見ると、どんな世界が創造できるのか……。今のままでは、コロナがなくなっても次のウイルスが来るかもしれません。そういう視点で、今の社会を見られるようになりました。今までは使い捨て手袋が大量のゴミと化していることにも違和感がなかったのですが、その時から、消費しながらも「使わなくて済む世界は?」と考えるようになりました。

塾長:最後に、どんな方に塾をお勧めしますか。

金山:行政職員です。行政の中だけで考えると思考が固まりがちですが、この塾では色んな人と突き詰めて話し合えるので、視点が広がります。

菅原:少しでもモヤっとしている人です。自分のやりたいことは何だろう、自分に向いていることは何か、仲間がいなくて踏み出せない、など。答えは自分の中にしかありませんが、モヤっとしていることを言語化することで何かが見えたり、相談する仲間ができたりします。卒塾後も学びの場があるので、これから入塾される方とのつながりも楽しみにしています。

矢野:日頃の仕事の中で、このままでいいのかな、と疑問を持っていたり、自分のやりたいことと今やっていることが一致しているのか、とモヤモヤしている人です。先ほど話題にあがった名誉教授の方は工学分野で著名な方ですが、ご自身のマイプロは故郷の里山問題でした。入塾するのに年齢は関係ありません。自分と社会の関係性を見つめ直す機会になります。

井上:自分の捉えている枠の外の世界が見たい人にお勧めです。外の世界には、自分だけでは気づけません。塾でお互いに刺激しながら気づくんです。気づくだけでなく、そこからの行動を後押ししてくれる仲間がいます。1年後、気づいて行動している自分をイメージしたい人にお勧めします。

満島:組織を変えたい人です。私は、入塾した時は、ソーシャルビジネスという言葉すら聞いたことがありませんでした。共感する職員を増やしたいと思っても、当時は自分が一人で必要性を訴えかけているだけでした。仲間がいないと変えられません。失敗もあれば成功もありました。共感を増やすというマイプロは今も続いています。この塾には期の違う卒塾生ともつながれる仕組みがあるので、たくさんの仲間に相談できますよ。

塾長:みんな、卒塾後もブレていないですね。未来を見ているので、自分の軸をしっかり持っているように感じます。では、ここでご質問を受け付けたいと思います。

【質疑応答】

-楽しそうな塾だと思いながら聴いていました。もし入塾するデメリットがあれば教えてください。

金山:あえて言わせていただくと、毎回課題が出ます。どうすればよいのか、毎回悩みました。

菅原:受講料です。豪華なゲストスピーカーとの距離の近さや卒塾後のネットワークができたことを考えると、十分見合う価値でしたが、最初は少し躊躇しました。あとは、ブラッシュアップ会では自分のことをがっつり深掘りしていただいて、普段感じることのない衝撃を受けます。私は少し涙してしまったこともありました(笑)

矢野:土日が潰れます。塾そのものと、それとは別にマイプロのために話を聴きに行ったりしていたので、奥さんの機嫌はあまり良くなかったです(笑)

井上:枠から抜けるのがしんどかったです。ブラッシュアップ会でSILKの大室所長から「それって本質なの?」と言われ、ハッと気づかされました。でも、仲間が一生懸命なので、自分もやり切ることができました。一番しんどいところが、最も価値があると思います。

満島:横文字が多く、最初は意味がわかりませんでした。また、同じくSILKの大室所長に「答えを出さなくていい」「メモをとらなくていい」「理解しようとしなくていい」と、やろうとしている事の反対のことを言われ、どうしたらいいのか考えるのが辛かったです。

-当日の時間の使い方を教えてください。

塾長:13:00にスタートして、前半は講師のお話がだいたい1時間半、後半はグループワークで、マイプロのブラッシュアップ等を行います。コロナ禍で今期はどうなるかわかりませんが、懇親会があり、毎回盛り上がるため解散は20時、21時くらいになることもあります。

【塾長より総括】

多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございます。

この塾は理路整然と説明することが難しい塾です。唯一言えることは、コロナ禍では、今までとは違う生き方が求められます。世界をちゃんと見る努力や、自分の思考の枠を外して新たな視点を持つことが必要になります。この塾では、ゲストスピーカーのお話を聴いたり、マイプロを自ら実践する中でたくさんの気づきを得たり、背中を押してくれる仲間ができたりします。本日は卒塾生からのリアルなお話を聴いていただきました。何か感じていただくことがあれば嬉しいです。これまでの塾生は、約半数が卒塾生による紹介でして、それも私たちにとっては嬉しいことです。扉をオープンにしてお待ちしております。

 

【事務局より】

・説明会のご案内
8月20日(木)19:00~20:30@四条烏丸
8月21日(金)19:30~21:00@梅田

参加者の皆様は、塾長や卒塾生のお話に熱心に耳を傾けておられました。

イノベーション・キュレーター塾第6期生の応募締め切りは8月31日です。
説明会に出席できなかった方も、ご質問等あればSILKまでお気軽にお問合せください!

モヤモヤがある人も、なんとなくおもしろそうと感じた人も、多くのみなさまのご応募お待ちしています!

イノベーション・キュレーター塾の申し込みはこちらから。


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