働き方改革
Oct 12.2018

生きるように働く。80歳まで働き続けるには│京の企業「働き方改革チャレンジプログラム」合同研修Day2レポート

皆さん、この1週間のうちに何時間テレビを見ましたか?
この1ヶ月で何回飲みに行きましたか?
本を何冊読みましたか?
勉強の時間が何時間ありましたか?

長野県立大学ソーシャルイノベーション創出センターでチーフ・キュレーターを務める秋葉芳江さんのこんな問いかけから始まった、京の企業「働き方改革チャレンジプログラム」2回目の合同研修。第1回とはまた違った視点から、一人ひとりが生き方・働き方を考える時間になりました。

(以下、敬称略)

生きるように働く。80歳まで働き続けるには│京の企業「働き方改革チャレンジプログラム」合同研修Day2レポート

秋葉: 今日は私自身が感じていることをぜひ皆さんにお伝えしていきたいと思っています。絶対に持って帰っていただきたいことは、「生きるように働く」ということです。働き方改革は自分の生き方改革なんだと思って、わくわくして帰ってもらえると嬉しいです。さっそくですが、ここに28個のキーワードを持ってきました。

DSC_4966_2

・1日2時間だけ働きます・サテライトオフィス
・SDGs・AI
・感性・時短
・100年人生・複業
・兼業・MOOC
・好きなことで食う・サブスクリプション型店舗
・テレワーク・Bot
・定年絶滅・週1営業
・人手不足倒産・Z世代
・起業・Art
・オンラインミーティング・Self Update
・生きるように働く・Sharing economy
・100万人にひとりの存在・自己決定と幸福感
・オフィスのない会社・お金2.0


秋葉: 初めて見る言葉も多いかと思いますが、具体的な事例をまじえて「生きるように働く」のが21世紀の働き方なんだということをお話しできればと思います。

まずは私のキャリアを少しご紹介します。理系の大学を出て就職し、コンピュータ産業がまだ確立していない時代に業界に入って、企業戦略などの仕事をしました。そこから退職して自分の会社を始め、今でいうソーシャルビジネスを行う事業に13年間携わり、その後、働き方という視点が求められていることに気づいて働き方のコンサルティングを専業として事務所を開業しました。その流れでSILKの立ち上げに関わり、現在は長野県立大学に呼ばれてソーシャルイノベーション創出センターでチーフ・キュレーターをしております。

DSC_4963

○Z世代
Z世代というのは、2000年になってから生まれた年代の人たちのことです。物心がついた時からスマホがある、スマホネイティブと言われる彼らは、自分が楽しめるように働くことをすごく大切にしています。私が日々接している大学生たちは、お父さんやお母さんとは全然話が噛み合わないと言うんですね。定年退職や年功序列で給料がどんどん上がっていくことが当たり前の世界で生きてきた親世代には、今の社会を目の当たりにしている若い世代の感覚が全く分からないわけです。

彼らは一生懸命働いても所得が横ばいだとか、大手企業の大量リストラとか、そういう社会を見て育っているので、待遇のいいところで無理して働くよりも、儲からないかもしれなくても自分がわくわくすること、楽しいことをしたいという意識を持っています。これは日本だけでなく、先進国でもアジアでも顕著に表れています。東南アジアのビジネスマンはすごくアグレッシブで、3年も同じ会社にいたら、できが悪いのかと思われると聞きました。彼らは自分の成長のために企業を選んでステップアップしていきます。こんな風に、日本だけでなく世界的に見ても働くということの意味が変わってきています。社会の変化スピードが早いので、企業の小さなヒエラルキーの中だけで動いていては社会の変化についていけなくなってきています。

○自己決定と幸福感
少し前に神戸大学の研究で、自己決定度が高い人ほど幸福感が高いというレポートがありました。かなり大規模な調査が行われ、残業時間や給料よりも、自分で決めて動けるかどうかが仕事の幸福感を左右するという結果が出ていました。ちなみにそこでは、学歴と幸福感には相関関係がなかったという結果も出ています。実は、日本人の幸福度は世界の国の中で54位なんです。かなり低い数字ですよね。私たちが発展途上国だと思っている国、日本よりも所得の少ない国よりも幸福度が低いというのが現状です。

○人手不足倒産
特に日本で切羽詰まっているのがこれです。地方では人手不足の黒字倒産をする会社が実際に出てきています。仕事はあるのに労働力を確保できなくて、倒産せざるを得ない。会社に魅力がなくて「ここで働きたい」と思ってもらえない、もしくは採用できてもすぐに辞めてしまう会社は、これからの時代に生き残ることはできません。昔に比べると転職が容易になったので、一人ひとりの働きがいを大切にしないと労働力の確保がどんどん難しくなりますよ。

DSC_4974

○感性
大企業も含めて、一番欲しがっている人材は、言ったとおりに働いてくれる人ではなく、アントレプレナーシップ(起業家精神)を持っている人材です。つまり、自分で企画して、自分で実行していく人です。そういう人を育ててくれという要請が大学へもたくさん来ています。

社会全体として利益を上げることが難しくなっている中で、企業の中でも多様性が必要とされるようになりました。多様性があると色んなアイディアや議論が出てくるということが分かってきて、そのために個人の感性や直感的な判断が求められています。感性というのは、企業が持っているのではなく「個人」のものですよね。自分がこれまでやってきたこととか好きなことを、仕事につなげていく。そうすると仕事の質が上がるんです。仕事とプライベートを分けてしまうのではなく、ぜひそういう意識を持ってほしいなと思います。

個人をうまく活かして業績が伸びている会社・商品はたくさんありますよ。例えばROHTOさんとか、カルビーさんのフルグラについてぜひ調べてみてください。カルビーの松本会長は、男性管理職の反発を受けながらも女性がいきいき働けるようにテレワークなどの改革を進めていき、フルグラの業績を大きく伸ばしました。

○100年人生・Self Update・MOOC
今、MOOCgaccoなどオンラインで無料で勉強できるシステムがたくさんあります。ちょっとお金を払えば、オンラインサロンで一流の人たちの話をスマホで聞けちゃう時代です。ここにいる大方の人は、おそらく80歳を超えて生きますよね。そうすると65歳で定年ってあり得ないんです。年金も減っていくので、多分80歳までいくらか稼がないといけない。自分を磨く時間を人生の中で持っていないと、80歳まで働き続けることはできません。社会に追いつけるよう自分をアップデートしていく力を持っていないと、本当に食べていけなくなっちゃいます。今日から、すぐにでも自己研鑽の習慣をつけていただければと思います。先ほど『LIFE SHIFT』という本を読んだ方に手を挙げていただきましたが、数名しかいなくてびっくりしました。これはぜひ読んでください!特に経営者の方は必読です。

DSC_5000

○サブスクリプション型店舗・1日2時間だけ働きます
飲食業界の方がいらっしゃるということなので、サブスクリプション型店舗の話をしましょう。皆さんSpotifyやApple Musicなどの音楽定額サービスはご存知かと思います。それと同じ考え方で、一定額の金額を払って会員になれば、ランチプレートを安く食べられるなどの特典があるというお店が増えてきています。廃棄を減らすなど、利益率を上げるための取り組みです。私の知り合いに、サブスクリプション型のサービスで週4日、1日2時間だけ働いて、1000万以上の収入を得ている人がいます。ちなみに、その方は30代のシングルマザーです。時間で所得が決まるわけではないんです。そういう時代に入ってきています。

○SDGs
みなさん、この絵は見たことありますか?

SDGs

これを知らないのはとってもまずいです。「我が社のSDGs宣言」はぜひしてくださいね!これは、2015年に国連がサスティナブルな世界になるように定めた17のゴールです。2030年までにこれを全て達成しようという国連の宣言です。スターバックスやマクドナルドがストローを全廃するというニュースを聞いたことがありませんか?今世界的に進んでいる使い捨てプラスチックの全廃は、SDGsによるものです。日本でも政府が今ジャパンSDGsアワードの企業を公募しています。これに選ばれたら広報効果は抜群ですよ!

秋葉: ここまで矢継ぎ早に色々なお話をしましたが、みなさんのお仕事の中にいきなりそのまま取り入れるのは無理だと思うんですけど、こんな働き方っておもしろいよね、うちの会社だったらこういうことはできそうだな、ということを今日妄想してもらえたら嬉しいです。

DSC_4972

秋葉さんの勢いに若干圧倒されながらも、たくさんの刺激を受けた様子の皆さん。ここで企業をミックスしたワークショップと企業毎のワークショップの時間を取り、後半は各社から出た具体的な質問や課題を受けて対話形式でお話しいただきました。

Q: リフォーム業でお客さんに合わせてスケジュールを組むので、会社のカレンダーで休みだったとしてもお客さんから連絡が入ります。有給休暇取得の促進などの取組もしているんですけど、休みの日もお客さんから連絡が来るので休んだ気にならないという声もあり、色んな働き方を取り入れるのが難しいというのが悩みです。

Q: 飲食店で営業時間が決まっているので、スタッフ一人ひとりに柔軟な動きを取ってもらうのが難しいと感じています。

秋葉: 考え方をごろっと変えてみるといいかなと思います。いる人をお客さんのスケジュールに合わせるのではなく、お客さんのカレンダーに合う人をあてがう、いなければ採用するというのも1つの考え方です。自社のカレンダーで休みを決めるのではなく、一人ひとりがお客さんのスケジュールに合わせて柔軟な働き方をするんです。

タイムマネジメントよりもストレスマネジメントの方が大事だと思って考えてみてください。スタッフの中には、平日休みたい人もいれば土日に休みたい人もいますよね。各々都合が違うというのは一般的にデメリットと捉えられますが、色々なお客さんの都合に合わせる上ではメリットになるんです。従業員の状況が多様な方が柔軟に対応しやすいので。極端な話、水曜の午前だけ出て来る人とかがいてもいいわけです。便利な情報共有ツールもたくさんありますし、働くって月〜金・9〜17時の勤務だけじゃないので、こうじゃないとだめ、この時間じゃないとだめっていう発想は取っ払ってほしいですね。

Q: 最初の頃から給与体系と残業削減に取り組みたいと思っているのですが、現状まだ具体的な変化は起こせていません。皆さん残業や給与についてどういうシステムでやっているのか聞かせていただきたいです。

秋葉: これまではかけた時間で給与が決まる体制でしたが、社会全体として成果での評価をするようにという流れになっています。経営者も労働者も、たくさん残業している=頑張っているという認識ではなく、仕事の効率が悪いから残業が必要になるという認識を持たないといけませんよね。よくできる人に仕事が集まってくるので、単純に残業しているから仕事が遅いというわけではないんですけど。

あとは、会議に時間をかけすぎな会社が多いと思います。まず資料の説明から始まって……みたいな。資料なんて先に読んでおいてください。各々意見をまとめて会議に来て、顔を合わせて話さないといけないことだけを議論する場にすれば、今まで120分かけていた会議が15分で終わるところもあると思うんです。

DSC_5026

給与に関しては、カヤックさんのサイコロ給という有名な仕組みがあります。給与の何割かをサイコロを振って決めましょうというもので、こんな風に自分たちで方法を決めて給与を考えようというのもいいと思います。上司の評価だけではなく、チームの仲間同士でお互いを評価するとか。ようするに、何時間働いたから給料いくら、という考え方はやめましょうということです。大企業では難しいと思うんですけど、中小企業だからこそできると思うので、ぜひチャレンジしてみてください。

Q: 月々の目標数値が決まっているけれど、1ヶ月とか1年それに向けてがんばっても期間が終わったらリセットされてしまうので、モチベーションを保つのが難しいと感じています。

秋葉: 数値目標ってどこの企業も持ってはると思うんですけど、その目標を達成したら何がどうなるかということを理解できていないから社員さんは腑に落ちないんですよ。今期のこの数字を達成したら、会社が掲げているビジョンのどこがどう動くのかが見えたら、1年たってリセットされるという発想にはなりませんよね。目標を達成したことで、ビジョンに向けてこれだけ進めた、というのが見えてくると、自ずと目標達成へのモチベーションが上がってきて働きやすくなると思います。せっかく中小企業なので、ビジョンからどう目標を立てるかも皆で一緒に考えたらいいんじゃないでしょうか。

DSC_4951_2

秋葉さんとの対話を受けて再び企業内で議論を進めます。
最後に、各社から前回の合同研修からの振り返りとここから10月に向けてのアクションを宣言していただきました。

「前回決めたアクションを正直まだ全然できていないのですが……」
「バーチャル上司をやってみて、非常に有意義でした」
「経営者と従業員の間のコミュニケーション不足を痛感したので、これを機に月1回会議の場を設けることになりました」
「社内で認識できていなかった自社のアピールポイントに今日気づくことができました」

など、様々な声があがります。

秋葉: 当たり前やから、こういうもんやから、という固定概念をぜひ取っ払ってください。できひんことなんてありませんから!うちの子どもを働かせたいと思える会社になるよう頑張ってください!

DSC_4995

秋葉さんから力強いメッセージをいただき、3時間半にわたる合同研修が終了しました。合同研修は次回が最後。10月末までの1ヶ月半、私たちSILKメンバーも決意を新たに各社のアクションに伴走してまいります。

会場:mumokutekiホール
写真・文:柴田明(SILK)


logo_color

▶︎ 記事一覧

 


    SOCIAL NETWORK

    SILKのソーシャルアカウント

    • 京の企業「働き方改革チャレンジプログラム」
    • イノベーション・キュレーター塾
    • これからの1000年を紡ぐ企業認定
    • メールマガジン
    • KYOTO SOCIAL PRODUCT MAP