COLUMN
September 09.2016

社会(化)見学レポート|株式会社和える

来る9月24日(土)、「これからの1000年を紡ぐ企業」に認定された、 株式会社和えるの東京直営店『aeru meguro』では、和えるの矢島里佳社長と京都市ソーシャルイノベーション研究所の大室悦賀所長によるトークセッションが開催されます。

テーマは「1000年の都、京都の「今」に学ぶ。~ソーシャルイノベーションが生まれる風土とは~」

≪イベント詳細はこちら

今、京都でうごめくイノベーションの波を東京にもお届けします。

定員が限られていますので、ぜひお早めにお申し込みください。

さて、こちらで紹介するのは今回のトークセッションに先駆けて開催された京都直営店『aeru gojo』でのトークイベント。和えるが「これからの1000年を紡ぐ企業」に認定されたことを記念して開催されました。矢島社長、「これからの1000年を紡ぐ企業認定」審査委員長で京都大学経営管理大学院教授の原良憲先生、そして京都市ソーシャルイノベーション研究所の大室所長による和えるの“解体ショー”の様子をレポートします。

社会(化)見学レポート|株式会社和える

「今回のテーマは“和えるを解体してみよう”です。」

大室所長のこの言葉からスタートしたトークイベント。
まずは矢島社長が和えるを創業したきっかけからお話がありました。

矢島さん

01.
和えるを創業したきっかけ

もともと起業家になりたいと思っていたわけではなく、ジャーナリストを目指していたという矢島社長。大学時代3年間、日本全国の職人さんを取材していく中で、職人さんが作ったお箸や器などでごはんを食べると、よりおいしく感じることを体感し、心の豊かさを感じとのこと。

「なぜ日本で生まれ育ったのに、日本のことを知らなかったのだろうと考えたときに、今の日本には伝統や先人の智慧をつなぐ仕組みがないことに気が付きました。」と話す矢島社長。そこで、生まれたときから日本の伝統に触れられる環境を生み出すことから始めようと考えたそうです。

赤ちゃん、子どもたちに日本の伝統や先人の智慧を伝えるにはどうしたらよいのだろうかと考えた結果、物を通して伝えようというアイデアが閃いたとのこと。当初は赤ちゃんや子どものための伝統産業品を作る会社への就職を考えたものの、そういった会社が見つからず、自ら起業をすることで、まずは場作りから始めたそうです。こうして、矢島社長は日本の伝統を伝えるジャーナリストになるという夢を実現されました。

ここで、原先生から興味深いお話が。
「日本では当たり前でも、海外から見たときに当たり前じゃないことがある。」

原先生

普段、私たちは、“モノづくりの国・日本”にいながら、実は、モノではなく、目に見えないところで関係性を築き上げるコミュニケーションをしているとのこと。具体的には、「阿吽の呼吸」といった言葉に表されるような、言語コミュニケーションに頼らない関係性に基づくハイコンテクストコミュニケーションといわれる文化。
米国など多様な価値観が共存する国々では、言葉によって明確な定義づけをしていく必要があるものの、比較的共通の価値観に基づく日本においてはこの文化が発展したそう。
和えるはそういった関係性を築こうとしているのではないでしょうか、と原先生が解説されていました。

続いて、話題は『0から6歳の伝統ブランドaeru』の商品開発へ。

02.
aeruの商品開発

既存の市場はもちろん社会全体が目まぐるしく変化していくなかで、aeruはどういった商品開発をしているのか。矢島社長からはそのこだわりが満載のプロセスをお話しいただきました。

「aeruではモノを売るための商品開発ではなく誰の役に立ちたいのか、そして何を伝えたいのかをじっくり考えます。」

和えるでは年間の商品開発スケジュールはなく、構想から販売まで1~3年ほどかけるそう。たとえば、aeruの一番はじめの商品である『徳島県から 本藍染の 出産祝いセット』。この商品は、本藍染の産着と靴下とフェイスタオルの3点セット。生まれてきてくれた赤ちゃんを日本のモノでお出迎えしたい。その想いから生まれた『0から6歳の伝統ブランドaeru』を、まさに体現した商品です。

将来のお客様とどんなコミュニケーションをしたいかという、コミュニケーションのデザインをしたうえで、商品のデザインをするというのが和えるの特徴だと話す原先生。

実際に、そのコミュニケーションをデザインするときに、“和えるらしい”か“和えるらしくない”かが商品化の基準となるそうです。

では、その和えるらしさとは何なのでしょうか。

03.
和えるらしさ

「和えるらしいの基準は何なの?」という率直な大室からの質問に、とても感覚的なものだと、表現の仕方について考えを巡らせる矢島社長。そんなとき、原先生の「らしさというのは価値提案(バリュー プロポジション)ということですよね」という一言がヒントとなりそれが明確になりました。

和えるらしさとは「循環を生み出してるか否か」である。

社会の滞留しているところに、和えるが循環を生み出す仕組みづくりをすると、話し出した矢島社長。新規事業を考えるときも、三方良しの好循環が生まれることを見据えた設計を大切にするとのこと。

たとえば「aeru room」という事業。長崎のホテルの一室を和えるがプロデュースするというものだそうですが、そこには、①職人さんの活躍する場が増える、②泊まる人がその地域の伝統産業や歴史に出逢うことができる、③ホテルのスタッフの方が地域の魅力を改めて知り、お客様に伝えるきっかけになるという、多方面の方々を巻き込んだ循環が生まれる仕掛けが。

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この事業を始める際も、まずはホテルのオーナーさんと目指すゴールを徹底的に話し、同志となってからスタートしたとのこと。これはどんな職人さんや企業とコラボレーションするときも同じだそうです。

まずは和えるらしさ=日本の伝統を次世代につなぐ循環を作り出す、というゴール設計を相手ととことんコミュニケーションをすることが第一歩とのこと。そうやって共に循環を生み出す人たちを増やしてきたと矢島社長はおっしゃっていました。

最後に、和えるは一つの価値観を押し付けるのではなく、あくまでも新たな価値観の提案であること。その人らしいライフスタイルに行き着き、自分らしく行きられる状態を生み出してほしい、と語った矢島社長。これからも和えるの挑戦はつづいていきます。

 

9月24日(土)のaeru meguroでのイベントでは、そんな和えるが京都に出店した秘話や、京都にいて感じることから、今、京都でうごめくソーシャルイノベーションの波をお伝えしていきます。


photo:小林かえで
小林かえで
京都市産業観光局商工部中小企業振興課。2015年から京都市ソーシャルイノベー ション創出支援事業を担当。ソーシャル・イノベーションによる地方創生を目指 して,全国で活躍するイノベータ―と共に持続可能なより良い社会のあり方を考 える場づくりなど,京都から日本の未来を切り拓く様々な活動を行う。

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