COLUMN
May 13.2015

社会(化)見学レポート|IKEUCHI ORGANIC株式会社

「生き様がビジネススタイル IKEUCHI ORGANICの歩みかたに学ぶ~理念×技術×愛~」

今治タオルというブランドがメジャーになって久しいですが、その今治の中でも異彩をはなっているタオルブランドがあります。OEM生産が中心のタオル業界でオリジナルブランドを立ち上げ、タオル会社としては異例のオリジナルラインを販売する直営店を展開されています。原材料と製造過程に徹底的にこだわり、一枚4000円以上するバスタオルを販売。顧客とのコミュニケーションを通してその付加価値をしっかりと伝え、根強いファンを増やし続けている会社です。

社会(化)見学にてIKEUCHI ORGANICの池内社長のご講演と、当センターの秋葉芳江コーディネーターとの対談が開催されました。ここでは当日のセミナーでの学びをふまえ、3つのポイントに絞ってご紹介します。

社会(化)見学レポート|IKEUCHI ORGANIC株式会社

01.
中途半端じゃないこだわり!
IKEUCHI ORGANICの「ホンモノ」のオーガニックコットンタオルとは?

IKEUCHI ORGANICでは、徹底的にオーガニックにこだわった商品を製造販売されていますが、「オーガニックコットン」には3つの基準があります。1つ目は3年間無農薬の畑でつくられていること、2つ目はフェアトレードで取引されていること、3つ目は遺伝子組み換えの種を使っていないことです。オーガニックコットンのコットンの生産量に占める割合は、3年くらい前には 1.2%で、現在は0.7%ほど。この割合が下がった原因として、3つめの遺伝子組み換えの種の問題があります。綿の一大生産地のインドでは、遺伝子組み換えがかなりの割合で入っているそうです。IKEUCHI ORGANICが長年契約しているリーメイ社では、種を撒いて出てきた芽の一本ずつに遺伝子テストを行ったそうです。その結果、3分の1もの割合で、遺伝子組み換えが混ざっていました。その後、一本一本のコットンに「遺伝子組み換え」「組み換えでないもの」が分かるようにリボンを結び、「組み換えでないもの」だけを使って製糸しているそうです。そんな企業との信頼で結ばれたつながりが「赤ちゃんが口に含んでも大丈夫」な」IKEUCHI ORGANICのタオルを支えています。

02.
業界初を次々生み出す。
イノベーティブな池内社長の生き様とは?

IKEUCHI ORGANICでは、「100%オーガニック」の商品にこだわり、そのタオルを織る電力は100%風力発電でまかなっています。しかし15年前、社長を含め誰もこんな会社になるとは思ってもいなかったそうです。きっかけはOEM生産の売り上げの7割を占めていた会社が倒産、民事再生法を適用したこと。それまでもオーガニックのタオルを作ってはいましたが、あくまでメインはOEMだった状況でした。銀行が全くお金を貸してくれない中、頻繁なモデルチェンジとそれに伴う設備投資が必要なOEMを製造し続けることは難しく、自分たちの想いが伝わるもの以外を作る余裕がなかったのが要因だったそうです。

現在は「オーガニックな会社にしよう」という社是の基、農業生産者、製造者、販売者、流通事業者、購入客、投資家、そういった方々が気持ちいい会社にしたいと取り組んでおられます。「お金で得られるものは薄っぺらい。お金がないとつらいし、『明日どこに支払いを待ってもらおう。夜が明けなければいいのに」と思ったこともあったけど、その足りないことをカバーするためにどうするかを妄想するのが好き」ということです。

その一例で、ISO14001を取得しようとした時のことをお話いただきました。当時コンサルタントに取得サポートをお願いするのには多額の費用がかかり、「とてもそんなお金はないから自分でやるしかない」と思われた社長は、ISOのコンサルをしていてメールアドレスを公開している方全てに、ISO取得のための家庭教師募集のメールを送信。結果、一人の方が教えてくれ、その後自力で認証を取得されたそうです。翌年は品質基準のISO9001、その翌年はエコテックス規格100のクラス1を取得。全て業界初です。ちなみに、工場の電力をすべて風力にしたのは日本初です。「なんでも一番最初がいい。誰も人がやっていないことにチャレンジするのが非常にワクワクします」とニコニコしながら話されていました。

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03.
発展しつづける、IKEUCHI ORGANIC

現在、「自分の子どもよりも可愛いタオルたち」が、自分がいなくなってもやっていけるように、今から準備が進んでいます。大きなこととして、2014年の3月に社名を「池内タオル」から「IKEUCHI ORGANIC」に変更されました。これは「イケウチは今後もずっとオーガニックでやりますよ」という宣言をしたのと同時に、「タオル以外のものも作りますよ」とう意思表示だそうです。具体的には、「IKT」という、IKEUCHI ORGANICの自社ブランド名の頭文字をとって、「I=インテリアテクスチュア」、「K=Knit(ニット)」、「T=タオル(もしかして陶器も?)」を販売されるそうです。

「ニューヨークで社名を発表するとき、『IKEUCHIは60年かけて、乳幼児が口に入れても大丈夫なタオルをつくってきた。次の60年で食べても大丈夫なタオルを作る」とジョークを交えて発表した」と池内社長。最大限の安全と最小限の環境負荷、そして最高の商品を製造販売するというブレない姿勢が、商品の差別化、ビジネスの成功を招き、その結果、業界や社会の意識や価値観を変え続け、周りから自然発生的に「ソーシャルビジネス」と評されるIKEUCHI ORGANIC。現在も社長の頭の中に新しいビジネスの構想がいくつもあり、しばらくしたらまた新しい発表があるそうです。「楽しみにしていてください」と講演を終えられました。

いかがでしたでしょうか? 社会(化)見学では、学びの機会をご提供させていただいています。

みなさまのご参加をお待ちしています。

社会的企業の京都誘致


photo:山中はるな
山中はるな
イノベーション・コーディネーター 広告出版会社での企画職を経て、2009年から京都市まちづくりアドバイザーとして勤務。ファシリテーションスマインドとスキルを通して、住民参 加型の区の基本計画の策定、地域活性化のためのプロセスデザイン、コミュニティの対話の場づくりを行う。2015年より現職。「これからの 1000年を紡ぐ企業認定」、「イノベーション・キュレーター塾」事業担当。

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