COLUMN
November 11.2016

社会(化)見学レポート|株式会社和える 9月24日

ソーシャルイノベーションの波を、京都から東京へ!

1000年の都、京都の「今」に学ぶ、~ソーシャルイノーションが生まれる風土とは~

東京でスタートした和えるが“京都で”「これからの1000年を紡ぐ企業」に認定される。生粋の東京人であるSILK大室所長が “京都で” ソーシャルイノベーションを推進する。「一見さんお断り」という言葉があるように、よそ者が入っていきにくいイメージをもたれる京都において、なぜよそ者の両者が活躍できるのか。

そんな不思議を解き明かすべく、東京・目黒にある“0から6歳の伝統ブランドaeru”の東京直営店『aeru meguro』では、和えるの矢島社長とSILKの大室所長によるトークイベントが開催されました。当日は、両者が実際に京都に身を置いて経験してきたことや感じたことを紹介。京都からソーシャルイノベーションが生まれやすい理由や京都で商いをするうえでのヒントがつまった今回のトークイベントをレポートします。

社会(化)見学レポート|株式会社和える 9月24日

よそ者がうまく使われるまち京都。

「一見さんお断り」は、すでに通っているお客さんの紹介がないとそのお店を利用できないという、お客さんとお店との信頼関係のもと、お店を、そしてお客さんを守っていくために大切にされている京都の商習慣です。こうした言葉に代表されるように、京都は人と人との信頼が非常に重視されるまちと言われます。しかし、今回お二人の話を聞くと、それは単純に「よそ者は受け入れない」というわけではないことが見えてきました。

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大室所長の場合

 大室所長は東京から京都に来てしばらくの間、講演をはじめ、市内において大勢の人の前で話す機会は一切なかったとのこと。

しかし、京都で過ごして3年がたち、地域の人々から“こいつは信頼できる”と判断されてからは、いろいろなところから声がかかるようになり、一気にネットワークが広がっていったそうです。

大室所長:おおよその地方で起こりがちなのは、よそ者に対してクローズ=追い出してしまうことです。確かにクローズすることで、その地域は安定しますが、一方で革新を止めることにもなる。

京都は、よそ者が入ってきたら、彼らが何者なのかを陰からじっと見ている。それまでなかった新しい取組をしている様子を見て、「おもしろそう!」「自分たちの地域のために使える!」と判断したら、どんどん自分のネットワークにつなげていきます。そうして、よそ者の才能を開花させ、彼らの取組を加速させていく。

aeru gojoの場合

起業時からずっと京都へ出店すると決めていたという矢島社長。しかし、いざ京都の不動産屋に行って、考えていた店舗の条件を提示すると、そんな物件はないと言われてしまったとのこと。

こういったエピソードを聞くと、「京都には出店しにくい」という印象をもたれてしまいそうですが、地域の方に紹介していただいた物件への出店が決まってからは、「信頼できると判断されたら・・」という大室先生の話に通ずる展開があったそうです。

矢島社長:aeru gojoのオープンの日が決まると、地域の方々へのご挨拶に大家さんが一緒に回ってくださいました。出店の際にお世話になった地元の金融機関さんも、aeru gojoのお店のまわりにいらっしゃる方々に、私たちのことを事前にご紹介くださっていて。そして、オープニングイベントには京都市長が駆けつけてくださいました。ご縁がどんどん広がっていくなかで、いろんな方にサポートしていただきながら、オープンの日をむかえました。

大室所長:京都は、これまでの歴史の中でも、よそ者がたくさん流れ込んできたまちであり、それを活かすノウハウも蓄積されているまち。よそ者をうまく使う方法を知っているし、よそ者もうまく使ってもらえることで、その力をさらに発揮できるのだと思います。

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京都での商い。

京都と東京の経済について矢島社長と大室先生の話が及ぶ中で、その違いがもっとも端的に表れていたのが、商いをするうえでの評価軸でした。

一般的に、商いの評価はその売上や市場規模が注目されることが多いですが、京都では「何年続いているのか。」が非常に重視されます。

京都において、長年にわたって商いを続けられるということは、地域においても認められている企業、という評価になるからです。それは、単に自社がたくさん儲けることではなく、地域や社会に目をむけた商いをしていることを表しています。

大室所長:商売をしようとすると、ついつい自分の会社のことだけを考えてしまいがちですが、京都は社会のことにも目を向けなければ、商売はできません。京都人は僕たち東京人が考えている以上に、非常にロングスパンで物事を見ています。今のお客様だけでなく、その子・孫その先の人々とも、よい関係を築き続けるという姿勢でお付き合いをしている。そうなると単純に今がよければという発想ではなく、地域全体としても持続可能でなければならないという視点が必要になってきます。

今回、和えるが認定された「これからの1000年を紡ぐ企業」。1000年先というのは誰にもわかりません。でも、京都は1000年続いてきた都。今や 少し先の将来ではなく、これからの1000年に素敵な地域を創るうえで一つの 指標になってくれる企業だからこそ、和えるは認定されました。

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今回,「矢島社長に憧れて来ました!」と、このイベントに参加され,日本と 世界の文化や伝統の発信をする「和を。」×「wow!」プロジェ クトを立ち上げられた、関東の高校に通う土田彩華さんにも感想をいただきました。

「京都に店舗を持てたことを自分のためだけに消費しては駄目。京都のみなさんが育 んできた文化をより一層深め、京都の役に立ちたいという気高い想いで取り組 んでいます。」という矢島氏の熱い言葉でトークショーが始まりました。そんな矢島氏に大室氏は「京都を育てると いう勢いで頑張ってほしい。」と声をかけられており、お二人の間に ある固い絆と志があるからこそ京都でイノベーションの波が巻き起こっているのだと感じました。きっと昔から京都の魅力はただ伝統建築や芸能で創り上げられているのではなく人と人とが「紡ぎ」あっているからこそ創り出されているのだと思いました。「他の場所にはない、言葉では表しきれない京都の魅力は何か」という今まで自分の中にあった疑問の答えが分かりました。

またお二人から京都のイノベーションのお話しだけではなく、人生の先輩として熱いお言葉を頂きました。「自分は なぜ生きているのか。違和感がその答えを得るきっかけになる。」「欲はいい 結果を生まない。志はいいけどね。」「万人に受けてはいけ入れられるものは本当に自分がやりたいことなのだろうか。」というお二人の言葉は私に自分自身・物事を哲学的に考える大切さを教えて下さいました。私もお二人のように身(しん)だけではなく芯を持った大人になり、将来お二人にまたお会いしたいです。

最後に、お二人のお話を聞き終えてまず初めに浮かんだ言葉は「温故知新」です。先人から学び受け継ぎ、現代人として新しいものを創り上げていらっしゃるお二人の姿にとても感銘を受けました。私は「和を。」×「wow!」プロジェクトを立てた理由の一つとして、 「五感が失われている現代に、五感で溢れている伝統と文化とグローバル社会をコラボレーションして平和な世界を創りたい」という思いがあります。きっとこの目標は「温故知新」があってこそ達成できるものと自負しています。だからこそ私もお二人の様にこれからの日本を支えていく世代として、夢に向かって精進する一方、「温故知新」という言葉を忘れずに生きていきます。貴重なお時間を頂き、本当にありがとうございました。

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この数年、ソーシャルイノベーションに取り組む企業が、続々と京都に進出してきています。その理由はいわゆる京都ブランドというメリットによるものだけでなく、今回のイベントでも話題となった「京都にうまく使われる」ことによって自身が化ける期待を感じたことによるためかもしれません。

京都は、和えるのように、ソーシャルイノベーションにチャレンジする“よそ者” を活かすノウハウがたくさんつまったまちです。それを活用していただき、そして「京都にうまく使われ」ていただきながら、京都でソーシャルイノベーションに取り組んでみませんか。よそ者のみなさまのチャレンジをお待ちしています。


    photo:小林 かえで
    小林 かえで
    京都市産業観光局商工部中小企業振興課。2015年から京都市ソーシャルイノベー ション創出支援事業を担当。ソーシャル・イノベーションによる地方創生を目指 して,全国で活躍するイノベータ―と共に持続可能なより良い社会のあり方を考 える場づくりなど,京都から日本の未来を切り拓く様々な活動を行う。

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