COLUMN
Jun 27.2017

「サードキャリアを切り拓く」トーク&ワークセッション レポート

「サードキャリアを切り拓く」トーク&ワークセッション レポート

6月9日(金)「サードキャリアを切り拓く」というテーマで、トークセッションが開催されました。講師は、SILK イノベーション・キュレーター 秋葉芳江氏です。会場は、信頼資本財団が管理運営する町屋スペース「風伝館」、志を支援する町屋スペースです。開放感のある吹抜けの奥にある和の空間で、大きなテーブルを参加者の皆様で囲む形で開催されました。

今回の対象は「概ね40歳~60歳くらいの、自分を女性と思う人」と、年齢と性別をあえて限定するという、SILKにとっても初の試みでした。ほぼ同世代が集まったアットホームな雰囲気の中、秋葉氏のレクチャーが始まりました。

秋葉氏レクチャー

■人生の「3ステージ」

「教育」「労働」「余生」そして、女性の多くの場合は、「教育」「仕事&子育て&家事労働」「余生」という3ステージで考えたとき、これまでは「教育(0~20歳)」「労働(20~60歳)」「余生(60~70歳代(1960年生まれの平均寿命は70.19歳)」と捉えられていました。

私たちの世代はどうでしょうか。
1975年生まれの平均寿命は87.73歳。現在、40歳の方はあと47年生きることになります。寿命の計算方法は大きく分けると2つあり、計算方法によっては100歳超という結果がでるそうです。人生100年と考えたとき、「長い余生を過ごすだけの蓄えがあるか。」「どう働くか。」親世代とは時代が変わった今、考え方を改める必要がありそうです。では、どのようなモデルを描いたら良いのでしょうか。

■「マルチステージ」という考え方

3ステージに対し、マルチステージは“「学ぶ」が何回あってもいい。「働く」も何回あってもいい。働き方も色々あっていい。“という考え方です。その時の関心によって、パフォーマンスを分散させたり、スキルアップやパフォーマンスを高めるためのインプット期間を何回も持ったりすること、それが自分を高める方法ではないか、というご提案をいただきました。

■ポートフォリオ~“働く”の再定義

マルチステージである時点(例えば40歳)で断片的に捉えた時、お勧めのとらえ方が「ポートフォリオ」。ポートフォリオとは「いろんなものがたくさんある」という状態を指します。自分が関わっている仕事、それが自分にとってどのような意味を持つのか。それを分析すると、マルチタスクがしやすくなる。10年後の姿を考えた時、AかBか、ではなく、双方が活きるやり方は何か、という視点に変わる、というお話を聞きました。

■強みとは何か

秋葉氏が、「本日、これだけは持ち帰ってほしい」と強く訴えていたこと。それは、「その経験が自分の人生にとってどんな価値を持っているのか。その価値は自分で決めることができる。」

例えば、「うつになったことがある」という事実が、「だからこそ、うつになった人の気持ちがわかるので寄り添うことができる」、「適切な声かけができる」等、それを経験しているからこそ得られた経験が価値を生み出し、自分の資産となる。自分の過去の経験は、何度でもリニューアルでき、自分の価値を高めることができる。経験は、お金や有形資産とは違い、自分で貯めていける資産である。それが「強み」であり、「経験資産」である。

会場は、あらゆる人の経験を尊重する考え方に共感し、自己肯定感が強まり、大きく包まれた感覚になりました。

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■自分の仕事を分析してみよう!

ワークショップでは、評価軸が「収入」「費やす時間」「スキルアップ度合」「やりがい」「経歴との関係の深さ」「新しいことが得られる度合」の6つの六角形のグラフを使って、自分の仕事を分析しました。

書いてみると、グラフは、人によって全く違う形でした。実際に書き、自分の仕事に対する評価が可視化されると面白いもので、例えば、自分が選びたかったことと結果的に選んでいたことのギャップが明らかになったり、副業で本業では得られないことを補っていたことに気づいたり、「補うのであれば、こういう仕事がいいのでは」という発想を得られたりしました。

秋葉氏曰く、選択枝を可視化することが重要で、六角形がぼこぼこになるのは当然。きれいな六角形を意識する必要はなく、大切なのはそれを補完する方法を知っていること、とのことでした。早速、各自、どんな仕事だと補完できるのか、という意識になりました。

■ダイアログ

参加者の皆様から1人1人、自己紹介と感想が述べられました。そこでも様々な質問が出てきました。その一つ一つの回答からも、胸に突き刺さる言葉がたくさんありました。

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“「強み」「弱み」はとらえ方の問題であり、全部「強み」。どちらの視点で見るか、というだけ。「御社の強みは何ですか。」という問いに対して、弱みと思っていることもひっくり返すと自社の強みになる。”

“自分で自分を愛す。自分を最高に強みにしてあげてほしい。”

“自分がどんな価値があるのか、まずは自分で持っておく。そのうえで、社会から評価はこだまのように返ってくるもの。自分で先に出せば、評価はおのずとついてくる。

会社員が会社と合わない、という場合も自分の人生の戦略として「自分はこれがある。」というのがあれば、現状を我慢するのではなく、少々のことはスルーできる。流されない。“

“老後のために貯金3000万円必要、と一般的には言われているが、ずっと稼ぎ続ければ、3000万円貯めなくてもよい。年金+自分がどれだけ稼げるか、で考えるべき。だからこそ「働く」という定義を変えないと。“

子育てや介護、自分の老後を考える世代にとって、どの言葉も深く胸に突き刺さりました。」

■まとめ

セッションを通じ、自分の中に潜在していた固定概念に気づかされ、「自分の選択肢を自分で狭めていたのではないか」「自分で思っていたより選択肢はあるのではないか」という視点が生まれました。たくさんの選択肢があること、それを選ぶのは自分であること、経験資産を高め、ほしい選択肢を選べる自分になるかどうかも自分の選択であることを強く認識しました。また、ジェンダーとジェネレーションを限定した空間は、参加者の方からも「心地よい」という感想がありましたので、イベントによっては、今後もこの形でやってみたいと思いました。

多様な生き方・働き方を考えるイベントは今後も開催しますので、皆様ご参加ください。


photo:川勝美智子
川勝美智子
京都市ソーシャルイノベーション研究所 チーフ コンシェルジュ 公益財団法人京都高度技術研究所 地域産業活性化支援本部 主任

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